独り身も八歳となりぬ青紅葉

朝曇りラジオ聞きつつパンを焼く

ひとひらの竹落ち葉して閑かなり

束の間の富士の姿や五月晴れ

青嵐去りし夜明けに富士見ゆる

あおあらし手許の暗さに本閉じる

朝凪やものみな染めて日が昇る

五月雨の音なきままに道濡らす

葉の裏の日差しもやさし夏に入る

そよ風が枝先揺らし夏立ちぬ

はつらつと物みな新た夏立ちて

目覚めれば五月の雨は音もなく

東天にふと気がつけば夏の月

さくらんぼ二粒映えて若葉萌ゆ

艶やかなガーベラ咲いて五月入る