窓枠に名も知らぬ虫あたたかし

まわりには緑ばかりなり夏野原

春風に綿毛が身をば委ねたり

花影に黒揚羽いて静かなり

窓染める茜のそらや四月尽

独り身のものがなしさよ春惜しむ

真ん中に新入生入れて登校の列

今日もまた雨降りやまず啄木忌

春深し雨降る朝に憂い増し

春の川ゆうべの雨の笹濁り

春風や遠きビルの窓光る

花片にしずくがキラリ風光る

ごんべ爺ィの誕生日なり花祭り

雨後のかぜ花散ってなお肌寒し

アザレアの赤きを厭う春愁あり

物の芽やわがガーデンに春匂う

ほの白き花の下より子らの声

躊躇いのあとに着込んで花曇り

足止めの雨がしとしと花盛り

小雀の胸毛そよそよ春の風